「同族嫌悪」とは何か

思考ネタ
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はじめに

どうぞくけんおについて調査と考察をしてみました。

同族嫌悪?同属嫌悪?

まず、「どうぞくけんお」の正しい漢字について調べてみました。

ネットで検索すると次のようにヒットします(2009年1月12日時点)。

  • 「”同族嫌悪”」に一致する日本語のページ 約 111,000 件
  • 「”同属嫌悪”」に一致する日本語のページ 約 83,800 件

検索件数から考えると、同族嫌悪が正しそうです。

なぜ検索のヒット数で調べて、辞書で調べないのかと、実はこの用語は辞書や四字熟語データバンクには載っていない言葉なのです。ただ、ネット上でよく見かける言葉ですし、辞書に載っていないからって存在しないというわけでもないと思います。

おそらく、ごく最近できた言葉で、辞書にも載っていない用語だからIMEの変換もできず、個人個人で自由に思い描いている想像で漢字に変換しているかと思います。

一応、同族と同属の違いについても調べてみました。

  • 同族 … 単語どおり同じ種族(系統・分類)に属するもの。
  • 同属 … 単語どおり同じ属性(性質・特徴)に属するもの。

上記の意味どおりで考えると、同属のほうが広い範囲を示せそうですが、同族のほうが人間に対して使う言葉のイメージがあることから同族嫌悪という言葉を利用するほうが多いと思います。

同族嫌悪の意味を考える

同族を嫌悪することから、「対象と同じような系統・分類の人を嫌うこと」ということです。ここでいう対象っていうのは、「AはBを同族嫌悪してる」の場合はAを指します。利用している文章をみる限り、この認識であっていると思われます。(まだ新しい言葉が作られている段階であり、使っている人が多ければそれが正解の意味になっていきます。)

それでは、なぜ同族を嫌悪するのでしょうか。意味が分かっても、不思議気な感じがします。自分と似た人をなぜ嫌うのでしょうか。それは自分を嫌うのと同じではないでしょうか。

以下考察に移りたいと思います。

自分自身の嫌なことをところ見てしまう説

同族嫌悪は自己嫌悪からきている仮設

調査を続けた結果、それっぽい考察を見つけることができました。

4 名前: こんな考えはどう? 投稿日: 2000/10/24(火) 03:52
同族嫌悪というのは正確には
自分が、自分自身について(意識的にしろ無意識的にしろ)
いやだと思っている所が似ている人を嫌いということでは。
つまり自分にない性質に関して嫌な奴なら
ただ嫌な奴で済ませられるけど
自分にもある性質に関して人を嫌うということは
自分自身をも否定しなければならないから理解しづらいのでは?

同族嫌悪 http://yasai.2ch.net/psycho/kako/972/972215358.html から引用

この考察は、議論(以下、スレ)の中でも支持されており私も納得しました。

このスレの中で話し合った結果をまとめると、以下のようになります。

同族嫌悪 … 自分の嫌な部分を見せつけられているようで、嫌悪する。

たしかに、自分のコンプレックスとかを鏡に映されたら嫌ですよね。

このスレだと同族嫌悪は、自己嫌悪だという終わり方になっていました。自己嫌悪自体は、同族嫌悪という作られた言葉に対して、辞典にも載っています。自己嫌悪に関しては、ちゃんと存在した言葉なので、心理的についても載っています。

まとめ

上記の理由を辞書っぽく書いてみました。

漢字 同族嫌悪
読み どうぞくけんお
広義 自分の嫌な部分を見せつけられているようで嫌悪すること。→近親憎悪・自己嫌悪

自分が属するグループ内で不祥事をした人を責める言葉説

ここからは、調べるというよりは私自身が考えた説になります。頭で考えたことをまとめつつ作成したので、ちょっと書き方や口調が変わります。

グループ内の1つのメンバーに問題が起きた場合の考察

例えばお米の中に虫が湧いたとする。もし虫を除去できても、他のお米も心配になるだろう。

若者の凶悪な事件が起きたとする。すると、最近の若者なら事件の犯人ではなくても怖い印象を持つだろう。この人も事件を起こさないのだろうか、と。

これらの例は、誰しも考えることだろう。あるグループがあり、その中の一つでも悪い物が見つかれば、グループ全体を軽蔑してしまう。

なぜなのだろうか。母数などを決めて確率を実際に計算したわけではない。検定など勿論行なっていない。でもこのようなニュースを聞くだけで、対象が属しているグループ全体が対象と同じような特徴を持つと錯覚してしまうのだ。

実際は自分が認識しているようなことが、案外間違っていることも多いのかもしれない。

グループ内のメンバー目線から考察

上記のような考えに共感を持った上で、グループの中にいる人たちについて焦点をあてていく。

グループに属する物たちは、自分以外の人が不祥事を起こすのを、出来れば避けたいと考えているだろう。なぜなら、1人でも不祥事が出れば自分もそのグループに属しているので、同じような不祥事を起こす仲間だと思われてしまうためだ。

自分は何もしていないのに、ある一人だけが不祥事を起こして、自分も非難の対象となったとしたら、その不祥事をした人を攻めるだろう。その不祥事をした人のせいで、世間の目が冷たくなった。どうしてくれるんだ。と。

まとめ

そういう時にネット上で、「不祥事をした人を攻める人」に向かって発言する単語がある。それが「同族嫌悪」というネットの俗語なのではないかと思う。

「不祥事をした人を攻める人」も同じグループに属しているんだ。客観的な根拠はないけど、こいつも同じような人物だろう。そういう人に責める言葉として、「同族嫌悪」があるのだ。

同族が、自分が属しているグループの中で不祥事を起こした人を差している。同族嫌悪とは人間にとって、誰しもが持っているごく普通の感情だと言えるのではないだろうか。

おわりに

今回、同族嫌悪の使い方を調べたり、自分自身で理由を考えたりすることで、言葉の理解を深めることが出来ました。

同族嫌悪は、上記のような意味で使ってない場面(煽りとかで)もよくみられます。おそらく、同族嫌悪自体、定義がまだないという理由もあると思いますが、今後また変わったりしていくのでしょう。

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