なたで日記

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DirectXとOpenGLのベクトル/行列演算の違い

time 2017/06/11

DirectXとOpenGLのベクトル/行列演算の違い

はじめに

こんにちー。なたでです。

今日も引き続き勉強会です。これまで、座標系とその変換を学んできました。今回、その計算方法、具体的にはベクトルや行列演算について、どのようにソースコード上で書けばいいか学んでいきましょう。・・・ということで、DirectX、OpenGL、各シェーディング言語の型や計算の特徴をまとめます。

言語ごとのベクトルと行列の演算

主流なエンジンでのベクトルと行列の型の例の紹介と、演算例を確認しましょう。

DirectXのベクトルと行列の計算

D3DXVECTOR4

x, y, z, w成分を持つ横ベクトル

D3DXMATRIX

4行4列の行列

D3DXMatrixMultiply

行列同士の掛け算を行う

計算例

// ベクトル(横ベクトル)の宣言
D3DXVECTOR4 v4 = D3DXVECTOR4( x, y, z, w);
D3DXVECTOR4 v3 = D3DXVECTOR3( x, y, z);
// 行列の宣言
D3DXMATRIX M = D3DXMATRIX(
	_11, _12, _13, _14,   // row 1
	_21, _22, _23, _24,   // row 2
	_31, _32, _33, _34,   // row 3
	_41, _42, _43, _44 ); // row 4
// 行列同士の掛け算 A * B = C
D3DXMatrixMultiply(&C, &A, &B);
// ベクトルのドット積 a・b = c
c = D3DXVec3Dot(&a, &b);
// ベクトルのクロス積 a×b = c
D3DXVec3Cross(&c, &a, &b);
// 3次元ベクトルと4x4行列との積 aM = b
D3DXVec3TransformCoord(&b, &a, &M)

HLSL(High Level Shading Language)のベクトルと行列の計算

DirectX用のシェーディング言語です。

float4

x, y, z, w / r, g, b, a 成分を持つ横ベクトル

float4x4

4行4列の行列

mul

計算例

// ベクトル(横ベクトル)の宣言
float4 v4 = float4( x, y, z, w);
float3 v3 = float3( x, y, z);
// 行列の宣言
float4x4 M = float4(
	_11, _12, _13, _14,   // row 1
	_21, _22, _23, _24,   // row 2
	_31, _32, _33, _34,   // row 3
	_41, _42, _43, _44 ); // row 4
float4x4 M = float4(
	_m00, _m01, _m02, _m03,   // row 1
	_m10, _m11, _m12, _m13,   // row 2
	_m20, _m21, _m22, _m23,   // row 3
	_m30, _m31, _m32, _m33 ); // row 4
	
// 行列同士の掛け算 A * B = C
C = A * B;
// ベクトルのドット積 a・b = c
c = dot(a, b)
// ベクトルのクロス積 a×b = c
c = cross(a, b)
// n次元ベクトルとnxX行列との積 aM = b
b = mul(a, M);

補足として成分ごとの演算 (DirectX HLSL)によると、行列のコンストラクターのパッキング順は、常に行優先になるとのことです。

OpenGLのベクトルと行列の計算

GLdouble v[4];

4つの値を持つ縦ベクトル(型はGLfloat / GLdoubleの2種類)

GLdouble M[16];

4行4列の行列(型はGLfloat / GLdoubleの2種類)

glMatrixMode + glMultMatrix

行列同士の掛け算を行う

計算例

// ベクトル(縦ベクトル)の宣言
GLfloat v4[4] = { x, y, z, w };
GLfloat v3[3] = { x, y, z };
// 行列の宣言
GLfloat M[16] = {
	m00, m10, m20, m30,	// column 1
	m01, m11, m21, m31,	// column 2
	m02, m12, m22, m32,	// column 3
	m03, m13, m23, m33	// column 4
};

// OpenGL単体では計算には向いていない
// OpenGLでは、あらかじめ設定した行列に対して操作を行うことができる

// 行列同士の掛け算 A * B = C
glMatrixMode(GL_MODELVIEW); // とりあえずモデルビュー変換用の行列で計算する
glLoadMatrixf(A);	// A をロードする
glMultMatrixf(B);	// A * B
glGetFloatv(GL_MODELVIEW, C)	// 計算結果を取り出す

注意点として、縦ベクトルのため行列との掛け算は Mv の順序で計算されます。作成した行列を最終的にベクトルvに対して掛け算をするため、行列を準備する際は、逆の順番で行列同士の掛け算が必要となります。

GLSL(OpenGL Shading Language)のベクトルと行列の計算

OpenGL用のシェーディング言語です。

vec4

x, y, z, w / r, g, b, a / s, t, p, q 成分を持つ縦ベクトル

mat4

4行4列の行列

計算例

// ベクトル(縦ベクトル)の宣言
vec4 v4 = vec4( x, y, z, w);
vec3 v3 = vec3( x, y, z);
// 行列の宣言
mat4 M = mat4(
	m00, m10, m20, m30,	// column 1
	m01, m11, m21, m31,	// column 2
	m02, m12, m22, m32,	// column 3
	m03, m13, m23, m33	// column 4
);

// 行列同士の掛け算 A * B = C
C = A * B;
// ベクトルのドット積 a・b = c
c = dot(a, b)
// ベクトルのクロス積 a×b = c
c = cross(a, b)
// nxX行列とn次元ベクトルとの積 Ma = b
b = M * a;

OpenGLのヘルパー関数(glMatrixModeglMultMatrix)と違って、固定化された行列に対して操作していく必要はありません。行列を掛け算していくときは、次のように1行に1つの掛け算を順番に書くことができます。

// 最後の計算が、aM = b の場合(ベクトルが縦行列なので実際はできない)
B = A * B;
C = B * C;
X = v * C;

// 最後の計算が、Ma = b の場合(ベクトルが縦なのでこの書き方できる。)
B = B * A;
C = C * B;
X = C * v;

WebGLのベクトルと行列の計算

標準では用意されていないため、
次のようなJavaScriptライブラリを使用して管理します。(いろいろある)

glMatrix

vec3など、GLSLと似た感覚の型名をもてる(列管理)

Sylvester

古くからある行列用の一般的なライブラリ。WebGLでも拡張jsを追加すれば利用可能(行管理)

多くのライブラリで共通して言えることは、OpenGLと同様に、行列のデータを列でもつことです。この理由は、あらかじめ列で持っていくことで、変換行列を uniformMatrix4fv などでGPU内のシェーダーに、アップロードする際に余計な変換をする必要がないためです。

[0,  1,  2,  3, // 1列目
 4,  5,  6,  7, // 2列目
 8,  9, 10, 11, // 3列目
12, 13, 14, 15] // 4列目

縦ベクトルと横ベクトルの違い

これまで、DirectXではベクトルは横ベクトルとなって、行列と掛け算するときは、vMとなる。OpenGLではベクトルは縦ベクトルとなり、行列と掛け算するときは、Mvとなることが分かりました。しかも、行列を初期化する際の順序も、行で初期化するのか、列で初期化するのか、混乱してきます。そこで、一度、整理したいと思います。

行列の初期化法について

次のような3×3行列を考えましょう。

横ベクトルによる計算の場合

DirectXの横ベクトルで演算した場合、次のようになります。

縦ベクトルによる計算の場合

OpenGLの縦ベクトルで演算した場合、次のようになります。

行列の初期化

以上から、ソースコード上、行列を初期化する場合は次のようになります。

掛け算の順序と行列の初期化について

ここまでまとめると、非常に複雑で混乱しそうです。しかし、よくみると気が付くことがあります。

初期化時の配列の位置と、実際に掛け算したときの結果を色付けしました。

不思議なことに、DirectXとOpenGLとで一見、違いがありません。初期化の順序が異なりますが、掛け算する順序も変わります。そのため最終的には、コード上の見た目の順序でいえば、掛け算の結果は一致するわけです。もちろん、行列同士を掛け算する際は、DirecXとOpenGLとで掛ける順序を気にする必要はありますが、上記のことを知っていると少し混乱がおさまるかとおもいます。(余計混乱を招いたらすみません。)

おわりに

今回は、実際の行列/ベクトル演算の書き方を確認しました。DirectXとOpenGLとで、掛け算をする順序がことなること、行列の初期化方法が異なることが分かりました。ただ、掛け算の順序と行列初期化方法の違いにより、見た目上の掛け算は、一致している部分があることも分かりました。

以上、お疲れ様です。


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